ヒトラーのユダヤ人説について。

 ロシアのラブロフ外相がヒトラーユダヤ人の血が流れているという発言をして話題になったが、ヒトラーユダヤ人説は手塚治虫でさえ漫画化したほど古くから言われてきた事である。それによるとヒトラーユダヤ工作員としてイスラエル建国に貢献し、それ故に戦後は南米アルゼンチンに脱出して生き延びたと言われている。一方で「ロシアの研究でヒトラーの遺骨が本物と証明された」だの「ヒトラー生存説を証明するCIAの機密文書が公開された」だのといった情報が錯綜しており真相の断定は難しいので、ここでは通説の紹介にとどめておく。ただ一つ言える事は(意図的か否かは別として)ヒトラーは結果として優秀なユダヤ工作員としての機能を果たしたという事であり、またそうした人物であるからこそ「生存説」が流布されるのは当然だという事だ。なぜなら「エージェントは殺されない」と言う保証が無ければ誰もエージェントになりたがらないからだ。つまり実際には死んでいても敢えて生存説が流布されている可能性もある。

 ヒトラーユダヤ人説ではヒトラーロスチャイルド家の血を受け継ぐとしている。そして(1)当時ヨーロッパに定住していたユダヤ人を恐怖に陥れイスラエル建国の待望論を強く惹起した。(2)ホロコーストによって全世界ににユダヤ人批判が出来ない空気あるいは法律まで作り出した。(3)ユダヤ人に自らのアイデンティティを強く意識させシオニズム運動を加熱させる。というのが大きなユダヤ工作員としての功績であるという。結果論としては確かにヒトラーの存在はそういう結果を生み出した。なお通説によるとヒトラーには1912年から1913の記録が無く、その期間にイギリスの(ロックフェラー財団が設立に関与した)タビストック研究所で洗脳教育を受けていたと言われており、それはヒトラーの義姉の著書により裏付けられているという。

 ヒトラーの出生の秘密については、ヒトラーの祖母であるマリア・アンナ・シックルグルーバーがロスチャイルド邸のお手伝いさんをしており、その時に身ごもったのがヒトラーの父アロイス・ヒトラーであるという説がある。なおヒトラーが私生児である事は史実であり、ユダヤ人の血が流れているところまではかなり確度が高いとされている。問題はロスチャイルドか否かであるという事だ。

 ちなみに左が老後に逃亡先のアルゼンチンで撮影されたという写真。右が終戦時にソ連が公表したヒトラーの写真。普通に見て右の写真はヒトラーには見えない。ソ連としては自分たちの手柄としてヒトラーの死という事実が欲しかったのは間違いない。戦国武将が相手の首を欲しがるのと同じ理由だ。そう考えると近年の遺骨調査の結果にも疑問符がつく。

 ちなみにアルゼンチンにナチスの高官が多数逃亡していることは事実であり、戦後もイスラエルのナチ・ハンターと言われるナチスの残党狩り組織がアルゼンチンにまでナチス残党を追いかけている。

 真相がどこにあるのかは謎だが、ナチス高官の多くがユダヤ人であり、戦時中もユダヤの資本家はナチスによってむしろ優遇されていたり、そもそもヒトラーの資金源がアメリウォール街であったり、ヒトラーナチスドイツがユダヤ金融資本と何らかの繋がりが有ったことは間違いない。問題はどこからどこまでが工作なのかという事だ。そしてヒトラーが一般の歴史書にあるように終戦時に拳銃自殺したのか、あるいは生存説にあるようにアルゼンチンに逃れて余生を全うしたのかは不明である。しかしもしヒトラーがエージェントで有ったのなら生かされた可能性は高いし、仮に死んでいたとしてもヒトラーの黒幕(仕掛け人)としては今後のエージェント確保のためにも生存説を流布することによって「エージェントは殺さない」というメッセージを発する必要は有っただろう。(これが●●生存説が多い理由だと個人的には思っている)ちなみにCIAスパイ説が有力なウサマ・ビン・ラディンも最後は米軍の軍艦から「水葬」と称してアラビア海に投げ捨てられている。本当にウサマ・ビン・ラディンは死亡したのだろうか?