憲法改正の現在地

 最近かつて報道された「岸田の任期中に改憲するためのスケジュール(画像左)」を持ち出して、2024年1月に改憲が発議されると護憲派が大騒ぎしているが、違和感しか無い。そもそも、このスケジュールを実現するためには9月〜12月の臨時国会中に条文を完成させる必要が有ったのだが、それが出来なかった。この流れは護憲派もよく理解しているはずだ。出来なかった理由は「やる気の無い憲法審査会」と「自民党裏金パー券騒動」だ。結果的に岸田の任期中の改憲は絶望的になったのだが、次の選挙で改憲勢力が(改憲発議に必要な)3分の2以上の議席を獲得する事は難しそうなので、しばらく改憲は難しいだろうというのが一般的な判断である。こうした状況の中で2つの動きが起きた。1つ目は中谷元(元防衛大臣)が国会閉会中の憲法審査会の開催を提案した(画像右上)ニュースだ。しかしこれは護憲勢力である立憲民主党に反対されて実現は難しい見込みとなっている。そして2つ目は自民党の若手議員らが「改憲議連」を立ち上げたというニュース(画像右下)だ。ただこれについては保守層からの支持を繋ぎ止めるためのパフォーマンスだという指摘もあり、実効力には疑問符がつく。このように岸田の任期中の改憲は絶望的と言っても良い状況なのは護憲派もわかっているのはずなのだが、そうした事には触れずに相変わらず無理のある論法で改憲が迫っている等と騒ぎ続けている。そもそも権力者、支配者層が改憲に持ち込もうとしているのであれば、改憲派の首領であった安倍晋三が暗殺された後、統一教会が叩かれ、そしてトドメのパー券騒動で安倍派を粛清したという一連の流れの説明がつかない。これが「改憲」をめぐる現在のリアルである。