緊急事態条項ガー!のデマ を斬る!

 緊急事態条項ガー!のデマを斬ります。現在の憲法議論では緊急事態条項において「国会議員の任期延長(6ヶ月〜1年)」の条文化のみが合意に到達できる状況で「(国会を通さない)緊急政令の発出」は合意に到達できないので見送られる流れです。ですから緊急事態条項が導入されて緊急事態認定がなされても現状の国会が(議員の任期が延長されて)継続されるだけであり、国会の議決を通さない緊急政令によって内閣の独裁が行われる事はありません。

 法律の成立には内閣が提出する「内閣立法」と国会議員が提出する「議員立法」の二つがありますが、いずれの場合ももちろん国会で多数決による採決を行います。ですから緊急事態条項が導入されて緊急事態下で内閣が法案を提出しても、その法案は国会の審議と議決を経てからでないと可決されないので独裁には相当しません。

 また、緊急事態条項に反対する人達の言い分は『衆議院の解散中に緊急事態が発生しても(3年ごとに半数が選挙されるので解散が無い)参議院による緊急集会(70日間)を開催すれば済むので、緊急事態条項は必要無い』と言う事ですが、そもそも参議院とはいわゆる「上院」であり貴族院に出自があり、より民意を反映しているのは衆議院です。ですから緊急時に参議院だけで国会を運営する方がむしろより独裁的なのです。(こうした衆議院参議院の違いを踏まえて、法律の成立においては衆議院に優越権が与えられている)ですから緊急事態条項の条文が「国会議員の任期延長」のみであれば、むしろそれは緊急時の独裁を防ぐ側面があると言っても過言ではありません。

 さらに付け加えておくとコロナ禍の最中に内閣がコロナ特措法として(行政罰では無く)刑事罰を伴う規制を実現しようと法案を提出した事がありましたが、その法案は国会による審議で刑事罰が撤回されて可決されたと言う事実があります。つまり、現行憲法下でも(昭和51年まで続いた罰則付きの)旧予防接種法の存在と(内閣法制局の審査を経て)国会の審議に通されたコロナ特措法の存在を考慮すれば「刑事罰つきのワクチン強制」は可能だと言うことになります。このように緊急事態条項が導入されれば内閣の独裁になりワクチンが強制されると言うのは少なくとも現状では間違いと言うことになります。重要なことは緊急時における独裁を阻止する規定の存在とその中身でしょう。