●イランVSイスラエル戦争勃発まで秒読み
イランとイスラエルが解散すれば第三次世界大戦とこの10年以上ずっと言われてきたが、その時が近づいてきた。イランが新大統領の就任式に招いたハマスの最高指導者ハニヤ師が殺害された事に対するイランの報復攻撃が予測されているのだが、客人を大切に扱う文化の中東イスラム圏の価値観を考慮しても、これ以上無いほど大きくメンツを潰された格好のイランは報復を明言している。諜報能力に優れたアメリカが公式に1〜2日中にイランが報復に出る可能性が高いと発表しており、レバノンなどイスラエルの近隣諸国から外国人が脱出を始めているので、かなり高い確率で近日中にイランによる報復攻撃が行われるだろう。悪い事にイランは前回のイスラエルによるシリアのイラン大使館攻撃に対する報復攻撃で「形式的なパフォーマンスとしての報復」は既にやってしまったので、今回は同じ手は使えない。つまり実効力のある比較的本格的な報復攻撃(ミサイル攻撃)が予想されるという事だが、もちろんイスラエルもその場合は断固とした報復措置を取ると明言している。メンツだの報復だのと言った動機での戦争は大人気ないと思われるかもしれないが、イランとしてもこのような機会に断固とした措置を取らなければ、国内の不満を抑えられなくなり、最悪の場合、政権転覆にも繋がりかねないので、イランのような独裁的国家であればあるほど「メンツを守るための報復攻撃」はその必要性は高まるのだ。もちろん根本的には民主主義国でも大きく変わるものでは無く、アメリカもまた911同時多発テロに対する報復的な意味合いを兼ねてアフガニスタンを攻撃している。自国の反政府テロなどを取り締まる一方で外からの攻撃は放置するような国は独裁制だろうが民主制であろうが国内を統治する事は難しいという事だ。最後に忘れてはいけない視点として、イスラエル軍に蹂躙されているガザのパレスチナ人達はイランの攻撃に少なからず希望を抱いているだろうという事だ。良い悪いの問題ではなく自分自身がパレスチナ人になったつもりで考えてみてほしい。もちろん責められるべきは2023年10月7日のハマスによるテロ攻撃だが。
●台湾独立運動の伝説的存在、鄭南榕(ていなんよう)
台湾の自由独立運動の激烈さを表す代表的な例が写真の頭から血を流している人物、鄭南榕(ていなんよう)だろう。第二次大戦後の国民党による独裁政権の終盤、アメリカのテコ入れで民主化が進み、民進党が結党された当初の1980年代終盤に活動した人物である。当時の台湾の政治事情は若干ややこしく、国民党は「自らが正当な中国の統治者である」というタテマエに固執しており、それは台湾版「一つの中国」を意味したが、同時に中国共産党に対して独立の意思は無い事を示して、安全保障とする政策方針であった。つまり当時の台湾において中国からの独立を唱える事は許されなかったのだ。これに対して民進党を中心とする台湾独立派は国民党の独裁政治に反対し、民主国家として中国から分離・独立する事を理想としており、鄭南榕は出版社の立場から独立運動に参加していた。鄭南榕が出版する雑誌「自由時代」は何度も発禁処分を受けながら微妙にタイトルを変えて出版闘争を続け、鄭南榕も逮捕されながらの活動を続けていた。そして最終的に鄭南榕は国民党政権からの出頭命令に抵抗して編集者のビルに立て籠り、焼身自殺を遂げている。椅子に座ったままの遺体が発見された事からも相当な意思の強さが伺えたという。歴史を遡ると中世、原住民と海賊くらいしかいなかった台湾は、その後、オランダ、明の残党、清王朝、日本と立て続けに植民地支配を受け、戦後の日本撤退後に台湾を統治した国民党もまた独裁政権であった。こうした中で自由と独立を求め続けてきた台湾人が中国共産党による一方的な併合にすんなりと応じるとはとても思えない。そのような意味でウクライナと似ているのが台湾である。
●パリオリンピックで妨害される台湾の応援団
パリオリンピックで台湾の応援が妨害される事案が続いているが、その背後に中国共産党の介入があるという報道(https://www.sankei.com/article/20240805-VKOFHXQ2YFJTBHG4RBTQYATWHQ/?outputType=theme_paris2024)が出た。そもそも今回のオリンピックも例年通り、台湾は国旗に相当する中華民国旗(青天白日満地紅旗=せいてんはくじつまんちこうき)の掲揚が認められていない。これは国際社会において、力で勝る中国の「台湾は中国の一部」という主張が認められているからだ。台湾の応援団はそのルールは守っているが、それでもなお台湾表記のある応援グッズなどが他の観客に強奪されたり、警備員にまで没収されたりしているという。中央通信社によると会場では中国人女性が警備員に没収対象支持する様子が目撃されているというが、これはつまり豊富な資金力を持つ中国共産党がオリンピックの運営委員会に根回しているという事だろう。ひどいという他は無いが中国共産党は通常の外交においても台湾と国交を持つ数少ない小国に資金援助を申し出て、その引き換えに台湾と断交させるという台湾を孤立させる政策を続けている。今回もそれと同じで一種の心理戦だろう。しかし独裁政権で国民の不満を常に力で抑え込んできた中国共産党はこうした行為が台湾市民の対抗心に火をつけるという事を軽視しているのでは無いだろうか。一方では台湾人を懐柔するような心理戦を試みたり、他方では独立心を煽るような心理戦を試みたり、どうも一貫性が無いように思えるが、そこには権謀術数に長けた中国のもっと深い意図があるのかもしれない。
●「日本が終わる」と「目覚めよ日本人」が胡散臭い理由
「目覚めよ日本人」と「日本が終わる」。。違和感を感じて、私が最初見たときから絶対に使いたく無いと思っていたこの2つの言葉。「目覚めよ日本人」は発信源からして中露北系の左翼陰謀論者や偽装保守(参政党など)を焚き付けて国内騒乱に煽り立てようとするフレーズのように思える。一方で「日本が終わる」はその言葉を拡散させる事によって日本から投資や人材の流出を招き、銀行の取り付け騒ぎのメカニズムで日本を弱体化させるためのフレーズでは無いだろうか。つまり、どちらもむしろ日本を破壊するための呪文だという事です。特に「日本が終わる」「日本消滅」「日本終了」「日本は消える」などのワードはSNS陰謀論界隈にあふれていますが、これだけ拡散させれば投資の撤退、人材の流出、産業の空洞化、通貨の価値下落など様々な実害が生まれて、本当に日本を終わらせる事に繋がるかもしれません。やたらと日本が終わると発言するインフルエンサーに注意しましょう。